• オリジナルを追求すること、
    絶対ぶれないことが活動の軸

  • バッファローチェックを生み出し、様々な時代を生き抜いてきたアメリカ最古のアウトドアブランド、WOOLRICHには、自由でインディペンデントなアメリカンソウルが今も脈々と流れている。そんなブランドと同じマインドを持って、それぞれのフィールドで独自に活躍するパイオニアたちにインタビューを重ねてきた特別連載も今回で最終回。ラストを飾るのはアーティスト、山口歴。NYで自分だけのスタイルを生み出し、活躍する彼の生き様は、まさに“WE ARE ORIGINAL”。自分らしくあることの素晴らしさを改めて教えてくれる言葉の数々をよくチェックしてほしい。

  • ―NYに住み、活躍されている山口さんですが、WOOLRICHは現地ではどんなブランドとして認知されているのでしょうか?

    昨年WOOLRICHと一緒にアートを作らせてもらう機会があったんですが、最初に声をかけてもらった時、アメリカ人の友だちに「WOOLRICHと一緒に仕事ができそうなんだよね」って話したら、「素晴らしいブランドだから、絶対やったほうがいい」と言われたんです。アメリカ最古のアウトドアブランドであるWOOLRICHは、現代のアメリカ人にとっても、レガシーなんです。

    ―着用されたWOOLRICHのウエアはいかがでしたか?

    僕は世代的に、白×黒のバッファローチェックのシャツといえば、Dragon Ashの降谷建志さんが「Life Goes On」のPVで着ていたイメージが強くて。カッコよかったですよね。実際にPVで着ていたのはWOOLRICHのものではないみたいなんですが、同じ配色の柄を着られて気分が上がりました。しかも今回のこの企画には降谷さんも出演されてるんですよね。共演したみたいでとても嬉しいです。

  • ―山口さんはアメリカのどんなところに憧れ、暮らすようになったのでしょうか。

    2000年代前半の裏原ストリートカルチャーが盛り上がった時にすごく影響を受けたんです。ストリートって自由でカッコいいなと思った。そこからカルチャーを掘り下げていく中で、HIPHOPに出会ってさらに衝撃を受けた。僕の中ではストリート=HIPHOPなんですよね。PARCOでKAWSの個展を見て刺激されたのもありますが、HIPHOPのルーツを見たくなってNYに行ったんです。実際に足を踏み入れて「この街で成功してやろう」、「名を挙げてやろう」と思いました。今はまだその道の途中です。

  • ―アメリカでの忘れられないエピソードを教えてください。

    ある日、日本食屋さんで食事をしている時に、ウォルターというアートスタジオをブロンクスで営んでいる男が声をかけてくれたんです。彼のオーガナイズするスタジオに遊びに行ったことがきっかけで、今年の3月まで彼のスタジオに7年間所属させてもらったんですよね。しかもスタジオ代も無償で。MID BRONXの167stという観光客も来ないエリアなんですけど、隣にはあのクール・ハークがスタジオを構えていて。“Yo, Genius!”と話しかけてくれるんです。HIPHOPの生みの親に逢えるとは思ってもいなかったので嬉しかったですね。

  • ―ブロンクスはアフロアメリカンのコミュニティができているエリアですよね? 日本人が入っていくのは大変ではなかったですか?

    彼らはマジョリティではないからこそ優しいんです。日本人の僕の気持ちもわかってくれて、すぐに“Yo! Btother! What’s up?”と挨拶してくれるようになりました。そんなコミュニティの中で、クール・ハークは周りのみんなを家族のように思っていて、僕らのことを“息子たち”と呼ぶし、彼もみんなに“お父さん”と呼ばれている。そんなところにアメリカのソウルを感じましたね。一見排他的だけど、中に入れば、家族のようによくしてくれる。自分が小学生位の頃の地域の繋がりが密接だった古き良き日本のようでした。東京を出てNYに行った僕が、NYで日本を感じるのは不思議な感覚でしたね。新型コロナウイルスの影響で3月にブルックリンのスタジオに引っ越したんですが、あのスタジオで過ごした7年間は、僕にとってかけがえのない大切な時間でした。

  • ―独自のアートはどのように生まれたのでしょうか?

    アパレルの会社のデザイナーだった父親から、常に「オリジナルでないと意味がない」と言われていたんです。その言葉はいつの間にか自分のマインドセットになっていました。ブラシストロークを形にした僕のアートは、そうやって生きていく中で、街中でふと思いついたものです。今も進化させている途中なのですが、僕の大元にはそんな思いがあります。オリジナルを追求すること、絶対ぶれないことを軸にして活動しています。WOOLRICHとも重なる部分がありますよね。これからもその軸を持って、進化していきたいです。

    モデル着⽤:Vintage Buffalo Check Shirt
    [Reference Item] by WOOLRICH

  • 山口歴 ブラシストロークをカット&ペーストし、3次元のものへ昇華するオリジナルアートで世界的に評価を得ているNY在住の日本人アーティスト。国内外の企業、ブランドとのコラボレーションも積極的に行っている、先日10年ぶりに帰国し、渋谷PARCOにて個展を開催、大きな話題を呼んだことも記憶に新しい。