





人を選ばないから
誰でも着やすいよね
ブラックのモダンな装いから、パーカやジャージーとMIXしたアクティブな着こなし、デニムと合わせた王道ワークスタイルに、細身のパンクな着こなしまで。「バッファローチェックのアイテムを必ず使用し、10のスタイリングを構築する」というルールのもと、個性豊かな10のスタイリングを披露した野口強。10代からアメリカに魅せられ、アメカジを日本に根付かせた氏に、改めてバッファローチェックの魅力について聞いてみた。
―アメカジの代名詞として、これまでに数え切れないほどバッファローチェックのスタイリングをされてきたと思いますが、そもそも野口さんがバッファローチェックを知ったのはいつですか?
アシスタントの頃だから二十歳ぐらいかな。古着屋さんで見かけたのが最初だったと思う。当時はアメカジ全盛の時代だったからね。本来はハンティングジャケットとして生まれたものだけど、ワークスタイルや、アウトドア系のスタイルでも使えるっていうイメージだったかな。
―バッファローチェックはウールリッチが生み出したものだということは知っていましたか?
そうだね。当時はそういう知識がすごく大切にされていた時代で、古着屋さんにも詳しいスタッフの人たちがたくさんいたから。服を借りに行っても、まずその服について、話を聞かせてもらうことも多かった。いろんなところでいろんなことを教えてもらっていましたね。日々勉強でしたよ。今はそんな先輩も減ってきたけどね。―バッファローチェックのアイテムでスタイリングをする際に気をつけていたことはありますか?
バッファローチェックってパンチ力がすごいから、「柄に負けないように」と思って細かい部分まで気をつけていました。レイヤードも多かったな。デニムジャケットやパーカを合わせたり、チェックシャツを重ねてチェックオンチェックにしたり。アウターの上からベストを着せたり、色々やったよ。腕が下に降りないんじゃないかっていうくらい重ねたこともあった(笑)。
―今回の撮影テーマを教えてください
オーセンティックな空気感を表現するためにタフな場所で撮影をしたけど、全部が作業着の延長にならないように、ジャージーを入れたり、大人っぽく黒でまとめたりした。とにかく「似たスタイリングにならないように」っていうところは考えたかな。あと、チェックってどうしても可愛くなりがちだけど、今回は男っぽい感じにしたいなと思っていたのでそこも気をつけた部分だね。―普遍的な柄だからこそ、10体それぞれにマッチし、主張してくれますよね。
そうだね。チェックの大きさも色々だし。もうちょっと色バリがあればいいんだけど、やっぱり定番の赤×黒が多いから、色で幅を出すのは少し苦労しました。だから今回はブランドのアーカイブだけではなく、全国の古着屋さんでも探しました。意外とリユースショップに70年代のアイテムがあったりして。一番古いアイテムは50年代のものだったかな。
―スタイリングする上で、こんなバッファローチェックのアイテムがあったらいいなと思うアイテムはありましたか?
ポンチョ的なブランケットを使ったけど、もうちょっと大判のものがあれば、スタイリングの幅も広がるなって思いました。あとは古着っぽく縮絨になってるような、風合いのあるアイテムがあったらいいよね。奥行きのあるバッファローチェックというか。昔の生地を回収して作ったりしたら面白いと思うな。―近年はメゾンブランドもアイテムを展開するなど、バッファローチェックに再び注目が集まっていますね?
メゾンブランドとコラボレーションするのも面白そうだよね。すごくでかいバッファローチェックを作ったりさ(笑)。アーカイブを紐解いて、いいデザイナーに頼んだら、面白いと思う。1800年代から続く老舗なんだから。そういうことができるのも老舗の特権だからね。
―改めてバッファローチェックの魅力ってどんなところにあると思いますか?
意外と人を選ばないところ。誰でも着やすいよね。今回はオーセンティックな感じでやったから、次は今っぽいモダンな空気感で撮影してみたいです。野口 強 80年代よりファッション誌、広告、ミュージシャンまで幅広く活動し、様々なムーブメントを起こしてきたスタイリスト。アメリカンカルチャーに影響を受けた不良性あるスタイリングが特徴。現在は自身のデニムブランド、“マインデニム”のディレクションも手がけている。写真とTシャツをこよなく愛す。
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